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凱旋門賞に向けてパリロンシャン競馬場の軽いレポート

いざ凱旋門賞


日本競馬がこれまで何度も立ち向かい、ディープインパクトやオルフェーヴルでも勝利することが出来ない世界の壁であり最大の鬼門。


今年は日本からはタイトルホルダー、ドウデュース、ディープボンド、ステーフーリッシュの4頭が出走予定。



そんな凱旋門賞はフランス、パリにあるパリロンシャン競馬場にて行われる。



パリ大賞(GI)が行われる7月14日にパリロンシャン競馬場を訪れたので、今回はその簡単なレポートをつらつらと書いていく。



1857年という今から165年も前に開場したこの競馬場は世界で最も美しい競馬場とも言われており、先述した世界最高峰のレースである凱旋門賞が行われる競馬場として有名。


パリ郊外のブローニュの森という森の中に造られており、アクセスする手段はバスに限られる。メトロの駅から歩けない距離でないが、40分以上は余裕でかかるのでおすすめはしない。


日本の競馬場は街なかに人工芝を用いて作られるが、欧州の競馬場の多くはもともと自然が会った場所に競馬場を建設する為、大きな競馬場でもアクセスが悪いことは珍しくない。また水はけが悪く、馬場状態が悪化しやすく回復しないのも特徴の一つだ。

これが日本の走りやすい芝に特化した競走馬が欧州ではなかなか勝てない所以と一般的に言われている。


入場券はかなり高額で€20(2800円程度)もする。早期にネット予約すればもう少し安くなるが、日本と比べると非常に高額。



入場ゲートをくぐると、金色に光るスタンドとそれに続く階段が目に入り、その奥には馬の銅像が置かれている。


この馬はグラディアトゥールという馬で1862年にフランスで生産され、英2000ギニーステークス、ダービーステークスを勝利。仏に戻りパリ大賞典(パリ大賞)にも勝利。その後再び渡英しセントレジャーステークスを勝利して史上二頭目の英クラシック三冠馬となる。

生涯戦績19戦16勝という圧倒的な強さを誇った馬。

当時のフランス競馬はイギリスかぶれの貴族たちによって行われていたものの、イギリス本国と比較すると劣っていた。そんな中でフランスの馬がイギリスのクラシックを総なめしたというのだから、その人気は絶大なものだっただろう。銅像が作られるのも納得である。



さらに進み、右に曲がるとパドックが見える。パドックの作りは日本と大きく違い、かなり長い長方形となっている上、木々が生えている。


そしてスタンドを抜けると、いよいよターフが見える。


日本と違い、観客のスペースにはテーブルと椅子が設けられており、ここで騒いでる人たちがたくさんいた。


ターフの奥には日本と同じくターフビジョンが設置されている。ターフビジョンはそんなに大きなものではない。中央競馬のローカル会場くらいのものだろう。


そしてこれがスタンドの全容である。なるほど、世界で最も美しい競馬場と言われるのも納得である。余計な作りはなく、シンプルに綺麗だ。


ただ、意外に思ったのがスタンドは予想以上に小さい。私は京都競馬場、阪神競馬場と園田競馬場しか訪れたことはないが、少なくとも京都・阪神よりは確実に小さい。園田競馬場よりは流石に大きいが、もしかするとほぼ同じくらいじゃないだろうかと思うくらい小さい。



スタンドの内部も、馬券販売機と小さな売店があるが、販売機の数も中の広さも想像以上に小規模だ。


馬券販売機。日本の競馬場と比べるとちゃちい機械。数も少なく、競馬場内にはおそらく合計でも20台程度しかないのではないかと思う


この競馬場は2018年に全面改修をおこなっており、かなり新しい建物になる。それでもこの規模ということはフランスではこのくらいの規模で事足りるということなのだろう。



場内をぶらぶらしていると、最初のレースが始まる時間になった。

今日はフランス革命記念日なのでパリ大賞典が行われる日である。

パリ大賞典は3歳限定、パリロンシャン芝2400mで行われるGIレースであり、一着賞金は€600,000となる。

一着賞金が日本円にしても8,400万円程度というのは少し寂しい数字のような気がする。日本では一着賞金が1億円を下回るのは2歳限定GIしかない。150年の歴史を持つGIレースとしては少し寂しいところだろう。


そんなパリ大賞典は8レース目に行われるので、それまでにここでの競馬に慣れておきたいところ




1Rのパドックが始まった。しかし人が少ない。もっと混雑するかと思ったが、座ってゆっくり見ることも出来るし、前の柵まで行って触れる距離にまで近付くのもどちらでも好きに出来る。


そして特筆すべきことは何と言ってもパドックが始まるのが遅い上、すぐに終わる。


なんとレース開始10分前に始まって、5分くらい歩いただけで終わるのだ。そして残り僅かな時間で馬券を購入する必要があるので余裕なんてあったもんじゃない


考えていても仕方ないので、なんとか馬券を購入する。外れても記念になればいいがどうせなら当てたいところ。






馬券を購入。最初の感想は何と言ってもペラい!

レシートのような紙にQRコードが印字されただけの簡素なもの


ちなみに単勝を購入。英語でも購入可能だが、いずれにせよここでの特殊な方式なんて分かるわけがない。


そしてターフへ行き、競馬を観戦


ターフも賑わって入るものの、人はあまり多くなく、ゴール板前を難なく陣取ることが出来た。


そしてレース開始。今までスタンドで遊んでた人たちもレースが始まると大声を出して馬を応援していた。この競馬特有の大きな歓声はやはりフランスでも変わらない。





ゴールを通過したときにひときわ大きな歓声が上がり、第一レースは終了。


私が購入した馬は殿負けだったが、まあ見なかったことにしよう。


レースの賑わいそれ自体は日本とは変わらず、盛り上がるものだったので、非常に楽しむことが出来た。


ただ、上記の写真左端に写っているのがターフビジョンであるが、見ての通りかなり小さい。

その上、コース幅もかなり広いので、視力が相当良くないとレースの経過を見るのは難しいと思う。



レース後、次のパドックを見ようと移動すると、パドックでは先程走った馬が戻ってきてクールダウン?のような感じでゆっくりと歩いていた。

そして勝利した馬はウィナーズサークル(?)に入り、見に来たファンにその姿を見てもらうようだ。




そして数分後馬は馬房の方へ去っていき、2R10分前くらいに次のパドックが始まった。


そんなこんなでレースは進み、夜の20時ごろ、ついにGIパリ大賞典のパドックが始まる。

GIレースだからか、誘導馬にお姉さんが乗って現れた


この時フランスに帰郷していたC.ルメール騎手が騎乗するかもしれないという話があったが、どうやら騎乗依頼はなかったらしく、特に日本に縁のある馬やジョッキーはいなかった。



GIレースともなると、メディア関係者や何かしらの関係者と思われる人でいっぱいだ。

また、先程はガラガラだったパドック席も人がかなり増えてきた。といっても日本のGIレースとは比べるべくもないほどではあるが。


馬券の券売機の方へ行くと、こちらも先程までとは打って変わってかなりの賑わいとなっていた。

発走まで残り5分程度なので、かなり焦ったがなんとか購入することが出来た。ちなみに2番オネストを購入した。馬券の写真を撮るのは忘れていて、払い戻してしまったので残ってないが。

オネストは史上最強馬論争の際に必ず名前が上がるあのFrankel産駒だ。




動画の一つでもないと寂しいと思い、パリ大賞典の馬券購入からレース終了までの様子を撮影した動画をアップしてます。無編集で、撮影も下手くそなのでなんとなく公開範囲はリンクを知ってる人に限定してます。



勝利したのは2番オネスト。なんとか馬券を当てることが出来た。


その後、パドックに行き少し待つとオネストが戻ってきた。


拍手に迎え入れられ、ウィナーズサークルに入り、ゼッケンを外してクールダウンするかのようにくるくると回っていた。


そして勝利ジョッキーインタビューや、おそらく調教師や馬主へのインタビューが行われ、パリ大賞典は終了した。




このオネストは明日、凱旋門賞を走る予定だ。パリ大賞典の次はアイリッシュチャンピオンステークスを走ったが、ルクセンブルクの2着に敗れている。
ちなみにルクセンブルクも凱旋門賞に出走予定



眼の前でGI勝利を果たしたオネストも凱旋門賞では応援しているが、もちろん日本馬に勝ってほしいという気持ちは強い。タイトルホルダーが宝塚記念で勝った時も目の前で見ていたのだから。


本当は次の最終レースまでいたかったが、既に日没も近い。初めての海外旅行で夜のパリはかなり怖いのでまだギリギリ日が出ているうちに帰りたかったのだ。



さて、読み返してみても駄文で申し訳ない限りではあるが、ここで日本とフランスの競馬文化の違いを纏めると

・現地で観戦する人はあまり多くない
・上記の理由からスタンドや内部設備の規模も控えめ
・パドックにはほとんど人が来ない。GI勝利馬が戻ってくる時ですら人はまばらだった。
・パドックが始まるのが遅く、すぐ終わる
・レースの盛り上がりは日本と同じ
・レース終了後は馬がパドックに戻ってくる

といったところだろうか。



明日はいざ凱旋門賞。重馬場の予定ではあるが、なに、タイトルホルダーならやってくれるさ。

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